【老年看護学実習】アセスメント:生活行動・生活環境

認知症の方の生活行動・生活環境についてのアセスメント例を紹介します。

生活行動・生活環境

活動

(例)施設でのレクリエーションに参加していることから、元々はレクレーションなどの活動が好きだったと考えられる。現在は体操などはできないことが増えてきたが、自分の出来る範囲で参加している。しかし、レクレーションの時にあまり笑顔は見られず、職員の方の誘導によって参加している。

 原因として、アルツハイマー型認知症により、記憶障害、見当識障害、失語や失認、失行が生じていること、加齢による筋力低下、運動機能の低下、心肺機能の低下、難聴や視力低下などの感覚機能の低下、抑うつによる活動意欲の低下が生じていることによって活動に参加することが難しくなっていると考えられる。

 レクレーションなどに参加しないことで、コミュニケーションも少なくなり、認知機能の低下が進行したり、活動不足から筋力低下や不眠が進行すると考えられる。そのため、継続して、レクレーションや体操への参加を促し、できることをやってもらう必要がある。

休息

(例)夜間に目が覚めることが多く、睡眠が十分に取れておらず、午前中に眠っていることが多い。

 原因として加齢による筋力低下、運動機能の低下、心肺機能の低下、難聴や視力低下などの感覚機能の低下、抑うつによる活動意欲の低下などによる活動不足や、ノンレム睡眠とレム睡眠がともに減少して、中途覚醒や早朝覚醒が生じていることが考えられる。

 このままでは、注意力の低下や、食事中に傾眠気味であることで、誤嚥が生じる可能性がある。

 そのため、概日リズムに沿った生活リズムの確保として、30程度の昼寝や規則正しい食生活・排泄・入浴・活動習慣、朝、太陽の光を浴びる、日中の活動時間を増やすこと、心理的不安要因を軽減する必要がある。

食事

(例)食塊を口に運ぶことができれば、咀嚼や嚥下はできており、むせる様子も見られない。しかし、摂食動作ができている時とできない時があり、スプーンを右手に持ってもらってもすぐに離す時がある。

 原因として、アルツハイマー型認知症による、失行、失認により、摂食動作が分からなくなっていたり、スプーンが何かを認識できていないことが考えられる。

 このままでは、食事が十分に取れずに栄養不足に陥る可能性がある。そのため、継続して、自立で摂食している場合は見守り、摂食動作が停止している時には摂食を促す声かけをし、それでも摂食動作が行われない場合は食事介助をする必要がある。

排泄

(例)トイレ誘導を行い、ズボンの上げ下ろしの介助を受けて、排泄と後始末ができている。しかし、夜間に時々自分の部屋の床に放尿をしていることがある。現在は、下着に尿取りパッドを敷いて使用している。

 原因として、アルツハイマー型認知症による、失行、失認により、トイレの場所が認識できていないことや、排泄動作が分からなくなっていること、尿意を感じにくくなっていることが考えられる。

 このままでは、床が濡れていることに気付かずに転倒を引き起こしたり、失禁によって不安を抱いたりする可能性がある。

 そのため、継続してトイレ誘導を定期的に行うこと、尿取りパッドを併用し汚染された場合に交換すること、夜間は離床センサーによって立ち上がったことに気づいたらトイレに誘導する必要がある。

身支度

(例)口腔ケアは全介助であり、うがいを促しても飲み込んでしまうことが多い。入浴も大半は介助を必要としており、腹部を洗うように促しても、行動は見られなかった。体を拭くことを促すと、上肢や腹部を拭いていた。更衣については、着脱は、袖を通す場所など声かけにより行うことができる。

 アルツハイマー型認知症により、失行、失認が生じ、口腔ケアや入浴、更衣そのものが分からなくなっていることが原因であると考えられる。

 そのため、介助によって、清潔を保つことができなくなると、感染につながる可能性がある。

 そのため、継続して、でいている部分は見守り、順序を忘れている場合は仕草や声かけでわかりやすく伝え、それでもわからない場合は介助をする必要がある。

コミュニケーション

(例)話しかけると返事がある時もあるが、会話が噛み合わ無いことが多い。しかし、挨拶や「はい・いいえ」で答えられる質問にははっきり答えている。

 アルツハイマー型認知症による失語の影響で、相手の言葉の内容が理解できないことや、言葉が思い出せないことが原因と考えられる。

 対象者が伝えたいことが伝えられないもどかしさを感じたり、不安を抱いたりする可能性がある。

 そのため、対象者の表情や仕草、態度から思いを予測し、理解していく必要がある。また、安心感を与えられるような表情や声の大きさ、態度で接する必要がある。

実習での対象となる患者様は、教科書とは異なることも多いと思います。

個別性を出すポイントとしては、複数の参考書を活用し、対象者に当てはまるものを組み合わせていくことが必要です。

ネットの記事だけでなく、ぜひ本も活用してください😊

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