今回は胃がんの患者さんのアセスメントの例をもとに看護過程の中のアセスメントの書き方を紹介しています。
NANDA-Iに基づいてアセスメントをしていますが、参考になる部分はあるかと思いますので是非真似してください😊
ヘルスプロモーション
・術前オリエンテーションの時の様子
・入院前の生活習慣(休日の過ごし方など)
・喫煙/飲酒の習慣
・身長、体重、BMI
・「たばこは辞めた。」など、病院で説明を受けた後の発言
などの情報収集をしてアセスメントをしました。
[例文]
飲酒や喫煙歴から、入院前は、不規則な生活を送っており、健康管理ができていなかったと考えられる。しかし、現在は術前オリエンテーションを真剣に聞き、呼吸訓練を取り入れ、禁煙もしている様子がみられ、BMIも標準であることから、積極的に健康管理ができていると考えられる。
しかし、分割食の話には興味がない様子であることから、適切な食事摂取ができずにダンピング症候群などを起こしてしまう可能性がある。
そのため、胃がんの術後に1回の食事量を減らすことの必要性を理解してもらう必要がある。また、入院前の生活週間から、退院後に不規則な生活を送る可能性が高い。そのため、健康状態が悪化する可能性があるため、退院後も健康管理ができるように指導する必要がある。
栄養
【摂取】
・食事摂取行動
・嚥下の状態
・普段の食生活
・検査データ(Hb、ALB、TPなど)
・BMI
などの情報からアセスメントをしていました。また、術前であるため、現在の状態のアセスメントをした後に、術後の摂取機能について予測されることとその根拠や看護についてもアセスメントします。
[例文]
1人で食事を摂取し、咀嚼や嚥下も問題なく行なうことができており、食物や栄養素の摂取機能に問題はないと考えられる。また、BMIの値は標準であるが、ヘモグロビンの値が基準値を下回っており、貧血であると考えられる。原因として、食事に鉄分が不足していることと、胃がんの潰瘍性病変部からの出血が考えられる。このままでは、術後の縫合部の回復が妨げられたり、抵抗力の低下が考えられる。そのため、鉄分を含む食事や安静の確保の援助をする必要がある。
また、腹腔鏡下手術で胃の幽門側の切除を行う予定であるため、術後は消化機能が低下すると考えられる。術前の食事と同じように摂取すると消化不良を起こす可能性がある。そのため、飲水から開始し、流動食、三分がゆ食、五分がゆ食を、全がゆ食という風に消化機能の回復状態に合わせて、徐々に常食に近づけていく必要がある。
また、胃の縮小により食事摂取量が低下すると考えられ、低栄養状態に陥る可能性がある。低栄養状態は抵抗力や免疫力の低下から感染、創治癒過程の遷延を起こす可能性がある。そのため、栄養状態の悪化がないかよく観察し、必要に応じて栄養の補給をする必要がある.
【消化】
・排便回数
・便の性状
などの情報からアセスメントをしていました。
[例文]
排便回数は正常であり、便秘や下痢はしておらず、消化の状態に問題はないと考えら。また、術後は胃切除によって食物が急激に小腸に送り込まれ、血管運動性症状や低血糖症状である動悸、めまい、しびれ、だるさなどが起こる可能性がある。そのため、食事は高タンパク食、高脂質、低炭水化物とし、1回の摂取量を減らして1日5〜6回に分割する必要がある。
【吸収】
・血液データ(TP、ALB)
・BMI
・浮腫の有無
などの情報からアセスメントをしていきます。また、食事摂取量は適切であるのに、低栄養が生じていないかを確認します。
[例文]
TP:6.5g/dl、ALB:5g/dlと正常範囲内であり、タンパク質合成に異常はなく、低体重などもないため、栄養素が正常に吸収されていると考えられる。
しかし、術後は消化液の分泌減少から、消化・吸収機能が低下することが予測される。そこから、カルシウム・ビタミンD吸収障害による骨代謝異常、鉄・ビタミンB12の吸収障害から貧血が進行する可能性がある。
そのため、食事は唾液の分泌を促すため、ゆっくりよく噛んで食べることや、上半身を高くし、消化液の逆流を防ぐことに注意してもらうように説明し実施してもらう必要がある。
【代謝】
・ALT
・AST
・TP
・血糖値
などの検査データからアセスメントしていました。ここでも、術後に代謝に関係がある予測される事象として、高血糖があるため、予測を書いています。
[例文]
総蛋白、ALT,ASTの数値が基準値内であり、蛋白合成、吸収に問題はなく、代謝機能に問題はないと考えられる。高血糖状態は、好中球やマクロファージの食菌作用や異物の認識作用を阻害し、免疫が低下し、感染症に罹患しやすくなると考えられる。そのため、術後数日間は、定期的な血糖・尿糖の測定を行う必要がある。
【水化】
・Na
・K
・Cl
・脱水症状(体温、血圧、脈拍、めまい、頭痛、吐き気など)
など、電解質バランスに関する情報からアセスメントをしていました。
[例文]
ナトリウム、カリウムの値が正常であり、電解質のバランスに問題はないと考えられる。また、体温の上昇などの脱水と考えられる症状も見られないため、水分出納の均衡が取れていると考えられる。
しかし、手術直後は、侵襲によって血管透過性が亢進し、水分・ナトリウムはともに血管外へ移動すると考えられる。血管外へ移動した水分は、循環血液に関与せず細胞内でも細胞外でもないサードスペースに集まる。この時期を乏尿期といい、尿量が減少するため、輸液により細胞外液の補充を行う必要がある。
また、乏尿期を離脱すると、サードスペースに移動していた水分とナトリウムが血管内に戻り、循環血液量は回復し、尿量が増加すると考えられる。そのため、尿量を確認しながら輸液量を調節する必要がある。
実習での対象となる患者様は、教科書とは異なることも多いと思います。
個別性を出すポイントとしては、複数の参考書を活用し、対象者に当てはまるものを組み合わせていくことが必要です。
ネットの記事だけでなく、ぜひ本も活用してください😊
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