今回は胃がんの患者さんのアセスメントの例をもとに看護過程の中のアセスメントの書き方を紹介しています。
NANDA-Iに基づいてアセスメントをしていますが、参考になる部分はあるかと思いますので是非真似してください😊
認知
[例文]
術前オリエンテーションの際に、メモを取りながら真剣に聞いている様子から、新たな知識獲得に臨む姿勢があると考えられる。また、質問に的確に答えることができ、過去のことを思い出すことができていると考えられるため、正常な状況認知ができており、認知機能に問題はないと考えられる。
しかし、術後は術後せん妄を引き起こす可能性があり、その影響で認知機能に障害を引き起こす可能性がある。そのため、手術や術後の経過についてわかりやすく具体的な説明を行なって経過が想像できるようにし、術後せん妄の予防をする必要がある。
コミュニケーション
[例文]
会話はスムーズにでき、質問に的確に答えていることから、相手との相互作用によって情報を伝達し合うコミュニケーションの過程に問題はないと考えられる。しかし、術後は術後せん妄を引き起こす可能性があり、その影響でコミュニケーションがうまく取れなくなる可能性がある。そのため、術後せん妄の予防をするとともに、患者の苦痛や不安を考慮したコミュニケーションを取るようにつとめる必要がある。
自己知覚
自己概念
【自己知覚】の領域では主に、自分のことに関する認識と、術後の変化の予測について書いています。
[例文]
病気を受け入れ、前向きな発言が見られることから、自己概念に問題はないと考えられる。しかし、術後は手術による身体の変化などから、自己概念に変化が起きる可能性があるため、術前に十分な説明を行い、術後にイメージが異なることがないように援助する必要がある。
自尊感情
[例文]
自分自身の価値や能力について否定的な発言は見られなず、積極的な発言が見られることから、自尊感情に問題はないと考えられる。しかし、術後に他者の援助を受けることで、自身でできることが少なくなったと感じ、自尊感情が低下する可能性がある。そのため、自尊感情を低下しないような声かけや態度を心がける必要がある。
ボディイメージ
[例文]
自分自身の身体に対しての否定的な発言は見られないため、ボディイメージに問題はないと考えられる。しかし、胃切除後はボディイメージを変化させることが必要となる。術後のイメージが異なると、状況を悪い方へ捉えてしまう可能性がある。そのため、術前に十分な説明をする必要がある。
役割関係
介護役割
【役割関係】の領域では、家族関係・介護者の役割・患者さん本人の役割についてのアセスメントをしています。介護者の疲労が予測されるため、介護者の援助についても書いています。また、患者さんが仕事をしている場合、職場復帰の援助も必要です。
[例文]
長男が積極的に説明を受けている様子から、介護役割を遂行できており、問題はないと考えられる。しかし、入院によって、息子は学校の合間に父親の入院中の援助をしなければならず、負担が増加すると考えられる。そこから、息子に精神面、体力面で疲労が蓄積すると考えられる。そのため、家族にも積極的に話しかけ、疲労が溜まっていないかを観察し、援助していく必要がある。
家族関係
[例文]
頻繁に面会があり、会話をしている様子や、会話時に2人の表情が穏やかであることから、家族との関係がは良好であると考えられる。そのため、家族関係に問題はないと考えられる。
役割遂行
[例文]
営業の仕事をしており、社会の一員として仕事をこなしていることや、息子と2人で暮らしており、父親としての役割をこなしてきていることから、社会的規範に合わない行動を取る様子もなく、役割遂行に問題はないと考えられる。 しかし、術後しばらくは体力の低下などから、これまで通りの仕事をこなすことは困難であると考えられる。 そのため、職場で理解が得られるように胃がんの術後に注意することについての資料を作成し、患者の体調に合わせて職場復帰ができるように援助をする必要がある。
実習での対象となる患者様は、教科書とは異なることも多いと思います。
個別性を出すポイントとしては、複数の参考書を活用し、対象者に当てはまるものを組み合わせていくことが必要です。
ネットの記事だけでなく、ぜひ本も活用してください😊
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