今回は、消化器の手術を行った患者さんを想定して看護計画の例を書いています。
目標
長期目標
イレウスを起こさない
期限:退院まで
短期目標
- A氏が早期離床の重要性、離床の具体的な方法を述べることができる。(術後3日まで)
- A氏がイレウスの症状に気付き看護師に報告することができる。(術後3日まで)
目標を立てるときは、まず長期目標を決め、それを達成するために必要なこととして、短期目標を決めていました。
主語は患者さんで、期限を必ず決めます!
OP:観察計画
- 腸蠕動音(減弱・消失または亢進・金属音)
- 排ガス・排便の有無、性状
- 腹部膨満、腹痛、悪心・嘔吐の有無
- 腹部X線画像で腸管拡張ガス像の有無
- 血液データ(Na,K,Cl、CRP)
- バイタルサイン(体温、脈拍、呼吸数、血圧、意識レベル)
TP:援助計画
- 手術翌日からベッド頭部をアップし、半座位→座位→端座位→立位→歩行と進める。※起立性低血圧などの症状に留意しながら進める。
- 体動前に鎮痛薬を投与する。(PCAポンプを使用している場合は患者が実施できるように勧める)
- 一定時間にトイレに行くように促す。(胃−結腸反射が見られる時間に試みる)
- 食事摂取開始となってからは、消化器症状をみながら水分摂取を勧める。
- 腹部マッサージを行う。(1回5分、1日2〜3回、胃−結腸反射のあるときに合わせて行う。腹壁が3cmへこむくらいの圧でゆっくりおこなう。)*創部を避けて行う
- 腰部の温罨法を行う。
EP:教育計画
- 手術によって生じる消化管の機能障害についての説明。(原因、症状、いつ頃起こるか)
- 腹痛、排便・排ガスの停止など症状が見られたら、すぐに報告するように説明。
- 早期離床の必要性についての説明。(離床によって腸蠕動が促進し、腸管内容物の停滞を防ぐことができる。)
- 離床の具体的な方法についての説明。(手術翌日からベッド頭部をアップし、半座位→座位→端座位→立位→歩行と進める。)
- 便通のコントロールの必要性についての説明。
- 食事に気をつける。(暴飲、暴食を避ける、よく噛みゆっくり食べる、水分・果物を摂取する、消化の悪い食品は避ける)
- 適度な活動を行う。(定期的な散歩・歩行、同じ姿勢の持続を避ける)
- 十分に休息を取る。(食後に安静時間を取る、精神的ストレスをうまく解消する)
- 排便状態に気をつける。(便や腹部の症状を観察)
OPは観察項目、TPは実施項目(看護者の)、EPは教育項目となっています。
疾患別看護過程などに載っているものから、患者さんの年齢や他にも持っている疾患などに合わせて項目を足したり引いたりすることで個別性を出していました。
また、途中で追加したり、解決したら終了の日付を記入していきます。
評価
○術後3日目
病棟内を少しずつ歩行しているが、日中はベッド上で過ごすことが多い。「看護師さんに動いてと言われるけど、痛がりであまり動きたくないです。」という発言があった。早期離床の方法を理解しているが、重要性を理解できていないと考えられるため、短期目標の①は達成できていない。継続して説明する。また、疼痛の影響もあるため、TPの②を行う。また、イレウスの徴候を理解できているため、短期目標の②は達成できた。
○術後4日目
早期離床の必要性を理解し実施できているため、短期目標の①は達成できた。
○術後8日目
腸蠕動音は微弱であるが、排便、排ガスがあり、イレウスの徴候はなく経過していることから長期目標は達成できた。
実習での対象となる患者様は、教科書とは異なることも多いと思います。
個別性を出すポイントとしては、複数の参考書を活用し、対象者に当てはまるものを組み合わせていくことが必要です。ネットの記事だけでなく、ぜひ本も活用してください😊
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