今回は、成人看護学実習の術後の患者さんを想定した看護計画の書き方についての例を紹介します。
目標
長期目標
感染を起こさずに創部が治癒することができる。
期限:退院まで
短期目標
- A氏が、感染症の徴候を早期に発見できる。(術後2日目まで)
- A氏が、感染の危険因子について理解し、感染予防の方法が実施できる。(術後3日目まで)
目標を立てるときは、まず長期目標を決め、それを達成するために必要なこととして、短期目標を決めていました。
主語は患者さんで、期限を必ず決めます!
OP:観察計画
- 発熱の有無
- 悪寒、戦慄、チアノーゼ、冷汗、頭痛、悪心・嘔吐の有無
- 創部、ドレーン、チューブ周囲の感染徴候(発赤、腫脹、疼痛)の有無
- ドレーンの排液の性状、量、色、臭い
- 食事摂取量
- 体重の増減
- 検査データ:TP,RBC,Hb,Ht,WBC,CRP,血糖値
- 出血量
TP:援助計画
- チューブやドレーンの刺入部を清潔に保つ(消毒、フィルムドレッシングの交換、交換前後の手洗い)
- ドレーンの屈曲・閉鎖がないようにする。
- 陰圧のかかっていない閉鎖式ドレーンは排液バッグを挿入部より上に上げない。
- 排液時に排液口が不潔な容器や手指に触れないようにする。
- 栄養状態が悪化しないように食事摂取の援助をする。
- 体位ドレナージを行う。
- 必要時、吸引を行う。
EP:教育計画
- 感染のリスクがあることを説明し、適切な手洗いを指導する。
- ドレーンや創部を不用意に触らないように指導する。
- 創部やドレーン刺入部のドレッシング材が汚染した場合は看護師に伝えるよう指導する。
- 感染徴候(発赤、腫脹、疼痛、悪寒、頭痛、悪心)があった際には看護師にすぐ報告するように説明する。
OPは観察項目、TPは実施項目(看護者)、EPは教育項目となっています。
基本的なことは、疾患別看護過程などに載っているものを引用し、患者さんの年齢や他にも持っている疾患などに合わせて足したり引いたりしていました。
また、途中で追加したり、解決したら終了の日付を書いていました。
評価
○術後2日目
左肺の下葉に副雑音あり、Spo2 94%で、咽頭部に痰がからむと呼吸しづらい様子があるため、去痰剤入りの吸入開始となる。吸入後、自己にて白色痰核出少量あり。体位ドレナージ、吸引を追加する。他の感染徴候はなし。
○術後3日目
感染の徴候や感染予防の方法も理解でき実施できているため目標は達成できた。今後も感染予防法は継続していく。しかし、まだ副雑音が見られるため、引き続き追加したTPの⑥、⑦を継続する。
○術後4日目
WBC:10,200/L,CRP:5.5mg/dLと高値であるが、侵襲に伴い破壊された自己細胞から生じた多糖類の運搬作用によるものであると考えられる。悪寒、発熱などの感染徴候もなく、感染を起こしていないと考えられる。肺の副雑音も消失し、チューブやドレーンも抜去したため、解決したプランは終了する。
○退院日
感染徴候なく経過できており、感染予防の方法も継続できているため、長期目標は達成できた。
評価を書くときは、短期目標、長期目標の期限の日には、目標の達成度の評価を書くようにしていました。
また、それ以外の日にも、変化があれば書いていました。
実習での対象となる患者様は、教科書とは異なることも多いと思います。
個別性を出すポイントとしては、複数の参考書を活用し、対象者に当てはまるものを組み合わせていくことが必要です。
ネットの記事だけでなく、ぜひ本も活用してください😊
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